彡(゜)(゜)「ワイはアドルフ・ヒトラー。将来の大物芸術家や」改

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1 : 2024/04/14(日) 12:30:58.11 ID:dKhwRS3B0
(´^ω^`)「それでね、あそこであの音を入れる意味ってのは……」
彡(゚)(゚)「はー前から思ってたが……」

彡(-)(-)「クビツェクの音楽に関する博識はスゴイもんや」
彡(゚)(゚)「クビツェクのくせに…」

(;´・ω・` )「なにそれ。褒めてるの?バカにしてるの?」

彡(゚)(゚)「クビツェク先生に聞きたいんやが」
彡(゚)(゚)「ソプラノ、アルト、テノール、バスの違いってなんや?」

( ;´-ω-` )「絶対にバカにしてるでしょ……まあいいけど…」
(´・ω・`)「ソプラノって言うのはね……」

彡(゚)(゚)「じゃあ、アレは?」
(´・ω・`)「それは、そうこうああいった理論で……」

それからボクはアドルフの質問攻めにあった

2 : 2024/04/14(日) 12:31:52.37 ID:dKhwRS3B0
彡(゚)(゚)「なるほどな、なんとなく分かってきたわ」
彡(゚)(゚)「ということはアレはアレでソレってことやな」

(;´・ω・` )「うん、まあその認識で合ってると思うよ」

彡(-)(-)「ふーん」
彡(゚)(゚)「なら、ソレのソレのソレはアレやな」

(;´・ω・` )「えっと……そうだけど」
(´・ω・`)「もう、そこまで理解したの?」

彡(゚)(゚)「なんとなくな」

( ˘ω˘ ; ) .。oO(ぐっ、悔しい)
こんなにもあっさり理解されたらボクの立場が……
ここは何か難しい問題でも出して
ぎゃふんと言わせてやる

3 : 2024/04/14(日) 12:32:28.24 ID:dKhwRS3B0
(;´・ω・` )「じゃあ問題だけど……」
(´・ω・`)「n≧3のときXn+Yn=Znを満たす自然数X, Y, Zは?」

彡(-)(-)「うーん」
彡(゚)(゚)「解なしやな!」

( ;´-ω-` )「ぎゃふん……」
彡(^)(^)「これでワイも音楽マスターや」

(ꐦ^ω^).。oO(ムッ、このまま調子に乗らせるわけには…)
(ꐦ^ω^)「全然、理論ができていても実際に弾けないと意味ないよ」

4 : 2024/04/14(日) 12:33:41.18 ID:dKhwRS3B0
彡(^)(^)「ワイは天才やから、そんなも余裕や」
( ¯•ω•¯ )つ「じゃあ、ここにヴィオラがあるから弾いてみなよ」

彡(゚)(゚)ノ「こんなもん、こうや!」
彡(-)(-)ノ ビャバヤビィー

(´^ω^`)「なんだいその音www」
(´・ω・`)ノ「こうやるんだよ」

( ´-ω-` )ノ レー♬
(´^ω^`)「ね、頭で分かっていても実際には弾けないんだよ」

彡(•)(•)「ぐっ、もう一回や」
彡(-)(-)ノ びゅけびゃみゅ

(´^ω^`)「はっはっは、逆によくそんな音が出せるね」
彡(•)(•)「ぐぬぬぬ……」

5 : 2024/04/14(日) 12:35:16.29 ID:dKhwRS3B0
(`・ω・´)「アドルフ、いいかい。楽器を弾くために必要なコトは」

(`・ω・´)「一つ、感覚や直感に頼らない体系的な勉強」
彡(•)(•)「ぐぬぬぬ……」

(`・ω・´)「一つ、絶え間ない練習」
彡(•)(•)「ぐぬぬぬ……」

(`・ω・´)「この勤勉と忍耐が必要不可欠なんだ」
(`・ω・´)「たしかにアドルフは優れた理解力、創造力を持っているけど」

(`・ω・´)「それでなんとかなるほど音楽は甘くないよ!」

彡(-)(-)「そんなはずない……」
彡(•)(•)「そんな体系的な勉強や練習をしなくても出来るようになるはずや!」

彡(●)(●)「ワイが証明したる!」

それからアドルフはピアノ教室に通うようになった

6 : 2024/04/14(日) 12:36:13.45 ID:dKhwRS3B0
(´・ω・`)「アドルフ、音楽の練習は順調かい?」
彡()()「狂ったように指の訓練させられとるわ!」

(´・ω・`)「指の訓練とは上手いこと言うね」
(´ᴖωᴖ`)「でも、それが大事なんだよ」

数か月後
(´・ω・`)「アドルフ、音楽の練習は順調かい?」
彡()()「練習曲ばかり弾かされる狂った音楽体操をさせられとるわ!」

(´・ω・`)「狂った音楽体操とはこれまた言い得て妙だね」
(´ᴖωᴖ`)「でも、それが大事なんだよ」

数か月後
(´・ω・`)「アドルフ、音楽の練習は順調かい?」
彡(゚)(゚)「辞めたわ」

(´・ω・`)「辞めたなんて本当に上手いこと言う……」
(。゚ω゚)「え!辞めたの」

彡(-)(-)「もうええわ……」
彡(゚)(゚)「それにクビツェクが弾けるんやさかい」

彡(゚)(゚)「ワイが弾けんくてもええやろ」
(;´・ω・` )「う、うん」

7 : 2024/04/14(日) 12:36:41.56 ID:dKhwRS3B0
彡(-)(-)「はぁ……」
彡(゚)(゚)「今日の演劇はひどかった…」

( ´-ω-` )「たしかに…」

僕たちは劇場で『ローエングリン』の上演を見てきた
リンツの劇場は昔ながらの古い建物だ
だから、あらゆるものが欠けていた
機械設備、衣装、小道具、楽器…
でも田舎の劇場だから仕方のないことだ

8 : 2024/04/14(日) 12:37:26.71 ID:dKhwRS3B0
( ;´-ω-` )「でもまさか、背景画が音を立てて落ちてくるなんて…」
(´・ω・`)「ワーグナーの描く壮大な世界感が台無しだよ」

彡(•)(•)「ワイはあの男性合唱団が許せん!」
彡(●)(●)「偉そうにイギリスじみた髭を生やしおって!!」

( ´-ω-` )「やっぱり…」
(;´・ω・` )「ちゃんとしたモノを見たいなら都会に行かないとね…」

彡(-)(-)「まあ、それが田舎の劇のええとこやな…」
(´•ω•`)「え?どういうことだい?」

彡(゚)(゚)「後で感動する余韻が残されとるやろ」
彡(-)(-)「きっとワイらがウィーンでちゃんとした劇を見たら…」

彡(゚)(゚)「今回の劇がアクセントになってさらに感動するはずや!」
(´・ω・`)「たしかに…でも、アドルフはさすがだね」

彡(゚)(゚)「ん?なにがや?」
(´・ω・`)「後で感動する余韻が残ってるって…」

(´^ω^`)「とてもステキな表現だと思うよ」
彡(^)(^)「せやろ!!」

9 : 2024/04/14(日) 12:38:01.88 ID:dKhwRS3B0
彡(-)(-)「ふむふむ」

(´・ω・`)「なに読んでるの?」
彡(゚)(゚)「ワーグナーの伝記や」

(´・ω・`)「あれ?前もそれ読んでたよね」
彡(゚)(゚)「あれはワーグナーの手紙や」

(´・ω・`)「ん?その前は?」
彡(゚)(゚)「あれはワーグナーの日記や」

(´・ω・`)……

10 : 2024/04/14(日) 12:38:26.21 ID:dKhwRS3B0
(´・ω・`)「ボクもワーグナーの大ファンだけど…」
(´-ω-`)「アドルフには負けるよ」

彡(^)(^)「ワイはワーグナーのことなら何でも知りたいんや!」
彡(-)(-)「ワーグナーはワイと一緒なんや…」

彡(゚)(゚)「彼はその生涯において周囲の無理解と戦ったんや…」
彡(-)(-)「ワイと一緒や…」

(´・ω・`)……
(´・ω・`) .。oO(大げさじゃないかな?)

11 : 2024/04/14(日) 12:38:50.34 ID:dKhwRS3B0
ワーグナーは七十歳まで生きたけど
それだけ生きたんだから
良い時、悪い時もあっただろうし
成功も失敗も多くを経験したんだろうけど……

( ´-ω-` ) .。oO(アドルフはまだ十七じゃないか……)
それに創作したものなんて数枚のスケッチや水彩画くらい

父親の死と、退学を経験しているけど……
ワーグナーの迫害され、追放された波乱に満ちた生涯にはほど遠い
それなのに、まるでワーグナーの人生を自分が歩んできたように語る

12 : 2024/04/14(日) 12:39:18.29 ID:dKhwRS3B0
アドルフは鼻息荒く語った
「お前はそれについて全く理解しておらん!」
「それについてお前とは話にならん!」
「政治に関してはクビツェク お前はマヌケや!」
「全く 母さんといいお前といい 政治に無関心過ぎるで!」
13 : 2024/04/14(日) 12:39:41.53 ID:dKhwRS3B0
(;´・ω・` ) .。oO(政治の話になるといつもこうだ……)
適当に賛同してみせても、いつも怒る
アドルフは勘がいいから、うわっつらだけ同意してもすぐ見破ってくる

ボクは音楽があれば政治のことなんてどうでもよかった
でも、アドルフはそのことが気に入らないようだ

14 : 2024/04/14(日) 12:40:11.90 ID:dKhwRS3B0
彡(-)(-)「全く 政治に興味がないなんてしんじられんなぁ」
彡(゚)(゚)「情熱が足らんのか?」

彡(>)(<)「だったらワイが政治というものを教えたる! 」
彡(^)(^)「よし そうと決まれば国会議事堂に行くで!」

(;´・ω・` )「ええ~ ボクは帰ってピアノの練習したいんだけど…」

彡(゚)(゚)「このままお前を野放しにしてたら、将来どうなるかわからん!」
彡(゚)(゚)/「ええからついてこいや!」

(´・ω・`)……
アドルフに将来がどうのこうのなんて言われたくないけど

( ´-ω-` ) .。oO(仕方ない、ついて行くか)

┗(゚)(゚)ミ┓┗(‘・ω・`; )┓三三3

15 : 2024/04/14(日) 12:40:40.51 ID:dKhwRS3B0
数分後
(´^ω^`)「でさ、ヴィオラの先生が言ってたんだけど」
(´^ω^)「音楽の時代はイタリアに移り変わってるらしいよ」

彡(゚)(゚)「イタリアぁ~? イタリアはないで」
(´・ω・`)「アドルフはドイツ以外の国に興味がないよね 」

彡(^)(^)「ワイは死ぬまでドイツ人やからな!」
彡(>)(<)「 芸術的才能もドイツの為に使うで」

(´・ω・`)「へー ボクは楽器が弾ければどこだっていいや」
(´・ω・`)「ってピアノの先生に言ったら」

(´・ω・`)「まるでユダヤ人みたいだなって言われたけど」
(´・ω・`)「正直 ユダヤ人って言われても」

(´・ω・`)「ボクはあんまりピンとこないんだよね」
(´・ω・`)「アドルフはユダヤ人についてどう思う?」

彡(゚)(゚)「ワイも別になんとも思わんで」
(´・ω・`)「え そうなんだ」

16 : 2024/04/14(日) 12:41:08.69 ID:dKhwRS3B0
意外だった
ユダヤ人が嫌われていることはなんとなく肌で感じていた
だからアドルフも何かしらの考えを持っているんだろうなと思っていた

彡(-)(-)「そういえば学校の教師がユダヤ人についてあれこれ言っとったなぁ」
彡(゚)(゚)「ワイは寝てたんやけど」

彡(•)(•)「まあ不満があるとすればユダヤ人の建てる礼拝堂やな」
彡(゚)(゚)「あれはないわ」

(´・ω・`)「へぇー」

彡(゚)(゚)/「おっ 国会やん! チェコ人は消えろや!帝国万歳!!」
(。゚ω゚)「ちょ…急になにを言い出すの」

ユダヤ人に関心が薄かっただけで
アドルフは熱烈なドイツ民族主義者だった

17 : 2024/04/14(日) 12:41:44.33 ID:dKhwRS3B0
彡(゚)(゚)「ちょうど議会の最中みたいやな」
彡(゚)(゚)「ええ機会やし、見学していくで」

(;´・ω・` )「えーやだよ、絶対につまらないもん」
彡(゚)(゚)「見学が二名や。案内を頼むわ」

( ;´-ω-` )「聞いてないし……」

門が開き、案内人に誘導され、見学席に座った

(´・ω・`)「お偉いさんが話をする所だけあって…すごい立派」
(´・ω・`)「議論の場だけでなく、オペラや演劇の場にもすればいいのに」

18 : 2024/04/14(日) 12:42:13.49 ID:dKhwRS3B0
彡(゚)(゚)「よし、じゃあ説明していくで」

彡(゚)(゚)「あの高いところに座っとる奴がおるやろ?」
(´・ω・`)「うん、いるね」

彡(゚)(゚)「あいつが議長で鈴を鳴らすだけのお飾りや」
(´・ω・`)「へー」

彡(゚)(゚)「その下に堂々と座っとる連中がおるやろ」
(´・ω・`)「うん、いるね」

彡(゚)(゚)「あいつらは大臣で座っとるだけが仕事や」
(´・ω・`)「へー」

彡(゚)(゚)「誰も座っとらん長椅子があるやろ」
(´・ω・`)「うん、あるね」

彡(゚)(゚)「そこは議員の席なんやけど……」
彡(゚)(゚)「そいつらはお喋りが仕事で、今はロビーで駄弁っとる」

19 : 2024/04/14(日) 12:42:41.14 ID:dKhwRS3B0
(´・ω・`)「ふーん……。帰っていい?」
彡(•)(•)「いいわけないやろ!」

(´・ω・`)「だって誰も仕事してないじゃないか……」
(´・ω・`)「そんなの見て何になるの?」

彡(゚)(゚)「仕事をちゃんとしとるのもおるで」
彡(゚)(゚)「あそこで机に身をかがめとるのがおるやろ?」

(´・ω・`)「うん、いるね」
彡(゚)(゚)「あいつらは議会での発言をメモする速記者や」

彡(゚)(゚)「唯一、ちゃんと働いとる人たちや」
彡(゚)(゚)「まあ、彼らの仕事はまったくの無意味やと断言できるがな」

(;´・ω・` )「なんだよそれ……」
彡(゚)(゚)「でも、ここの連中の中ではまじめな分だけ好感が持てるわ」

彡(゚)(゚)「ほれ、議員の連中が群れをなして入って来たから……」
彡(゚)(゚)「そろそろ本格的な論議が始まるで」

20 : 2024/04/14(日) 12:43:18.13 ID:dKhwRS3B0
(´・ω・`) .。oO(とたんに騒がしくなった……)
でも、こんなの議論じゃない……罵り合いだ……

演説をしている一人に対して大勢の議員が怒声を浴びせている
議長が鈴を鳴らして注意してるけど
議員たちは机をバンバンと叩き、口笛まで吹いて対抗している

(´・ω・`) .。oO(子どもの喧嘩でさえ……、ここまでひどくはない)

(´・ω・`)「ボク、もう帰るね」
彡(゚)(゚)「なに言っとるんや、今が一番、大切なところやぞ」

(´・ω・`)「でも、ボクには彼らが何を言っているのか……」
(´・ω・`)「さっぱり分からないんだ」

彡(゚)(゚)「議会の内容なんかどうでもいい」
彡(゚)(゚)「知ろうとするだけ無駄や」

(;´・ω・` )「えぇ…。だったら何のためにここにいるんだい?」
彡(゚)(゚)「政治の技を見るためや」

(´・ω・`)「政治の技?」
彡(゚)(゚)「あの演説家がしとる議会妨害がそれや」

21 : 2024/04/14(日) 12:43:54.22 ID:dKhwRS3B0
(´・ω・`)「え?議会を妨害しているのは周りの議員たちだろ?」
彡(゚)(゚)「ちゃう、あの演説は時間いっぱい喋り通して……」

彡(゚)(゚)「他の議員に発言の機会を与えないことが目的なんや」
彡(゚)(゚)「だから周りの議員は怒って騒いどるんや」

(´・ω・`)「そんなことしてどうなるんだい?」
彡(゚)(゚)「時間切れで反論させなくする」

彡(゚)(゚)「これが政治の技や」

(;´・ω・` ) .。oO(いったいアドルフは何を言っているんだろう……)
そんな姑息な手段になにを学ぶことがあるのか
ボクには無意味な時間の浪費としか思えない

(;´・ω・` ) .。oO(でも……ボクが間違っているのかな?)
なにせボクは政治のことがさっぱりだし……

その後も、アドルフは全神経を集中させ
理解不能な演説をじっと見つめていた

22 : 2024/04/14(日) 12:44:24.09 ID:dKhwRS3B0
(´・ω・`)「おばさん アドルフはなんで政治に興味を?」

クララおばさんは語った
「血かしらね。 亡くなったお父さんも政治談義が好きだったから」
「いつも居酒屋で熱く政治を語って、煙たがられてたみたいだけど」
「アドルフに直接言ってる所は見たことがないから」
「なんだかんだ言っても親子なのねあの二人は」
「でも、最近の若い子はみんな自分をドイツ人だと思いたいみたいよ」

(*^◯^*)「クビツェク君はどうなの?」

( ´-ω-` )「うーん」
(´・ω・`)「分からないです」

23 : 2024/04/14(日) 12:45:14.83 ID:dKhwRS3B0
(ꐦ`•ω•´)「うるさいな!」

彡(゚)(゚)「うるさいってなんやねん!!」
彡(•)(•)「ワイは正しいことを言ってるだけや!」

(`‐ω‐´)「なんだよ…」
(ꐦ`•ω•´)「アドルフは口ばっかでろくに仕事もしてないくせに!」

彡()()「はあああん!それを言ったらお終いや!!」
彡(●)(●)「もう勝手にせえや!」

(`‐ω‐´)「ああ、そうさせてもらうね!」

ボクたちは完全に決別した

(´-ω-`) .。oO(なにがきっかけだっただろう…)
音楽性の違いだったかな?
うまく思い出せない、でも……

(ꐦ`•ω•´)「アドルフのバーカ!」

24 : 2024/04/14(日) 12:46:02.35 ID:dKhwRS3B0
ボクはトランペット奏者としてコンサートに出演予定だった
それまでの数日間、緊張の連続だった

( ¯灬¯ )「よし、今日の仕事はここまでだ」
( ;´-ω-` )「ふう…」

(´・ω・`)「ちょっと外でトランペット吹いてくる」
(∗ 'ω' ∗)「また一人?アドルフ君はどうしたの?」

(`‐ω‐´)「……知らないよ あんな奴!」

バタン!!

25 : 2024/04/14(日) 12:46:28.69 ID:dKhwRS3B0
懸命に音を鳴らした
ちっともおもしろくない…

(ꐦ`•ω•´) .。oO(これもあれもアドルフのせいだ!)
なんでコンサートの前にこんなイライラしないといけないんだ!
アドルフはいつだってそうだった、いつもボクをバカにして

26 : 2024/04/14(日) 12:46:53.93 ID:dKhwRS3B0
いつだって…いつだって……

(´^ω^)(アドルフ聞いて!ボク コンサートに出るんだよ)
(´^ω^`)(あの聖エリザベートだよ!)

彡(゚)(゚)(ファッ!)
彡(^)(^)(やったやんけクビツェク!)

27 : 2024/04/14(日) 12:47:18.43 ID:dKhwRS3B0
…いつだって

(;´・ω・` )(アドルフ…うまくやれるかな 不安だよ…)

彡(•)(•)(なに言っとんのや!不安なら練習や)
彡(^)(^)(ワイがとことん付き合ったる!!)

28 : 2024/04/14(日) 12:47:52.39 ID:dKhwRS3B0

ブオン
( ;´-ω-` )(いつもここで間違えちゃうんだ…)
彡(゚)(゚)(そこはもうちょっとこうしたらいいんちゃうか?)

(´・ω・`)(こう?)パー♪

(´^ω^`)(やったできたよ!)
彡(-)(-)(ワイの指導の賜物やな)

( ;´-ω-` )……
彡(゚)(゚)(どうしたんや?)

(;´・ω・` )(こんなんで本番 大丈夫かな…)

彡(●)(●)(大丈夫や!絶対にうまくいく!)
彡(^)(^)(ワイが保証したる!!)

29 : 2024/04/14(日) 12:48:17.40 ID:dKhwRS3B0
コンサート当日

:(´ºωº`):
胸が高鳴る
コンサート会場は満員
オーケストラで子どもはボクだけ……
トランペットは間違えるとすごく目立つ…

30 : 2024/04/14(日) 12:48:43.57 ID:dKhwRS3B0
ブー 

:(´ºωº`):
幕が上がった
指揮者がおじぎをして挨拶している

(。゚ω゚) .。oO(あっ、お母さん!)
お母さんは客席で不安そうにボクを見ている

( ;´-ω-` ) .。oO(…そんな顔しないでよ)
ボクまで不安になっちゃう…

31 : 2024/04/14(日) 12:49:13.85 ID:dKhwRS3B0
(´・ω・`).。oO(あれ?)
お母さんの隣にいる、大きい目をしたのは…

(。゚ω゚) .。oO(え、なんでいるの!?)
そこにはアドルフがいた

彡(^)(^)
彼はボクを励ますように微笑んでいた

(´・ω・`)

驚きのせいか、励ましのせいか
不安は吹き飛んでいた

32 : 2024/04/14(日) 12:49:32.78 ID:dKhwRS3B0
ありがとう
33 : 2024/04/14(日) 12:50:04.53 ID:dKhwRS3B0
・・・

( ˙-˙ ) .。oO(すべてが上出来に終わった)

( ゜∀゜)o彡゜( ゜∀゜)o彡゜( ゜∀゜)o彡゜( ゜∀゜)o彡

大きな拍手が巻き起こった!
お母さんは立ち上がって、目に大きな涙を浮かべている

その横でアドルフは…
その大きな目を真っ直ぐボクに向け拍手を送っていた

(∗ ;ω; ∗)彡(゚)(゚)ノノパチパチ

34 : 2024/04/14(日) 12:50:50.85 ID:dKhwRS3B0
その日の夜
ボクとアドルフは人気のない静かな森に出かけた

( ´-ω-` )「アドルフ…ごめ」

彡(-)(-)「なんも言わんでええ…」
彡(^)(^)「ワイはすばらしい音楽が聴けて満足や!」

(´・ω・`)……

彡(-)(-)「でもな、これだけは言っとく」
彡(•)(•)「クビツェク お前は音楽家の最高峰、指揮者になれ!」

(。゚ω゚)!!

彡(゚)(゚)「お前には才能がある」
彡(゚)(゚)「その才能を埋もれさせたらアカン!」

彡(゚)(゚)「クビツェク お前は…」
彡(^)(^)「音楽の中でこそ輝く存在や!」

(。゚ω゚)……

この時、アドルフの途方もない言葉に
ボクはなにも答えられなかった…

35 : 2024/04/14(日) 12:52:08.04 ID:dKhwRS3B0
リンツ市街
彡(゚)(゚)「お!新しい家が出来とるぞ」
(´・ω・`)「ほんとうだね」

彡(>)(<)「さっそくスケッチしたろ!」
(´・ω・`)「また、始まった……」

アドルフは常に紙と鉛筆を持ち歩いていた
そして気に入った風景や建物があると、すぐスケッチした

(´・ω・`) .。oO(それにしても上手だな)
ボクもたまに仕事でスケッチすることがあるけど
アドルフのようにスラスラとは描けない
それに早いだけでなく、大胆な筆遣いで書き出される線はとても魅力的だ

36 : 2024/04/14(日) 12:52:27.69 ID:075FVcBy0
いつまでやるつもりや?
37 : 2024/04/14(日) 12:52:41.26 ID:dKhwRS3B0
(´・ω・`)ジー
入り乱れた線のもつれ合いの中から建物が出来上がっていく
見ていて、とてもおもしろい

彡(゚)(゚)「よし、完成や!」
(´・ω・`)……

(´・ω・`)「ねえ、アドルフ?」
彡(゚)(゚)「なんや」

(´・ω・`)「色は塗らないの?」
(´・ω・`)「いつもスケッチだけで、ちゃんと仕上げないよね」

彡(-)(-)「うーん、色まで塗りだすと時間がかかるしな…」
彡(゚)(゚)「なんやったらワイの部屋に来るか?」

彡(゚)(゚)「完成品ならいくらでもあるで」

(´・ω・`)「え!いいの?」
彡(゚)(゚)「かまへんで」

彡(゚)(゚)ノ「ほな、行こか」

38 : 2024/04/14(日) 12:53:28.93 ID:dKhwRS3B0
アドルフの家
彡(゚)(゚)「ここがワイの部屋や」
(´・ω・`)「そういえば、アドルフの部屋に入るのは初めてだ」

彡(゚)(゚)「前はチビに邪魔されたしな」
ガチャ

(´・ω・`).。oO(へえーここがアドルフの…汚いな)
部屋中が紙だらけだ……

彡(゚)(゚)「たしか……完成品はここに…」
彡(゚)(゚)ノ「ほれ、これや」

(´・ω・`)「ありがとう」

39 : 2024/04/14(日) 12:53:58.40 ID:dKhwRS3B0
( ¯•ω•¯ ) .。oO(んー……)
正直……微妙だな……
水彩画なのに絵の具を塗りたくっているだけ
即興的な雰囲気や薄く柔らかい水のにじみをまったく表現できていない
感想としては不器用で没個性……稚拙の一言に尽きる
40 : 2024/04/14(日) 12:54:32.67 ID:dKhwRS3B0
彡(゚)(゚)「気に入ったのがあれば、好きなだけ持って行っていいで」
(;´・ω・` )「う、うん。ありがとう」

Σ(´•ω•)「ん?」
(´・ω・`)「アドルフ……あれって…」

彡(゚)(゚)「ただの製図板やろ」
(´・ω・`)「いや……この書きかけのこれは……建物の設計図?」

彡(゚)(゚)「せや、ワイが設計した新しい劇場や」
(´・ω・`)「へーすごい……」

ものすごい緻密に細部まで描かれている

41 : 2024/04/14(日) 12:55:12.10 ID:dKhwRS3B0
ボクはこれでも家具職人の端くれだ
設計に関しては生まれ持っての才能は関係ない
技術や知識をどれだけ努力して身につけるかにかかっている

きっとアドルフはここまで出来るようになるまで
相当な苦労をしたんだろう

(`-ω-´)「いやーアドルフ。これはすごいよ」
(´・ω・`)「いったい誰に教わったんだい?」

彡(゚)(゚)「独学やが」
(´・ω・`)「え?」

彡(゚)(゚)「建築関連の本を読んで、あとは適当に思い付きで書いてるで」

(。゚ω゚) .。oO(えええ!!)
ちょっと待ってよ
さっきのボクの発言、返してよ!
設計に才能は関係ない、努力の賜物だって……
カッコつけたばかりなのに!

42 : 2024/04/14(日) 12:55:43.14 ID:dKhwRS3B0
彡(゚)(゚)「なんやクビツェクも建築に興味があるんか」
彡(^)(^)「ならこれからは、建物の話でも盛り上がれるな!」

(;´・ω・` )「いや……ボク、建物に全然…詳しくないし……」
彡(^)(^)「謙遜せんでええ。それに、いくらでもワイが教えたる」

彡(゚)(゚)「せや、いい機会やし……これプレゼントするわ」
彡(゚)(゚)ノ「ほれ」

(;´・ω・` )つ「あ、ありがとう」
(´・ω・`)「これは邸宅の設計図……」

(´・ω・`) .。oO(ん?)
なんか見覚えというか……聞き覚えがあるような気が……
なんだったかな……
……
そうだ!

43 : 2024/04/14(日) 12:56:09.27 ID:dKhwRS3B0
(´・ω・`)「ねえ、これってステファニーと一緒に住むために設計した……」
彡(゚)(゚)「ちっ、覚えとったか」

(´・ω・`)「こんなの貰っても困るんだけど…」
彡;(゚)(゚)「ワイも捨てるつもりでいたんやが……」

彡(-)(-)「どうしても思い入れがあってな……」
彡;(゚)(゚)「処分できんのや!」

彡(゚)(゚)「頼む、受け取ってくれ」
(´・ω・`)「えぇ…」

彡(-)(-)「この通りや」
(´・ω・`)「もう……しょうがないな」

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