トラス英首相、すべての減税策を撤回し責任を財務相に負わせ更迭

トラス英首相に逆風強まる　大型減税策を撤回、財務相更迭…就任1カ月余で早くも進退問う声

トラス英首相は14日、クワーテング財務相を更迭し、目玉政策だった法人税率引き上げ凍結を撤回した。大型減税策の撤回は今月3日の所得税の最高税率引き下げ撤回に続き2回目。政権発足からわずか1カ月余りでの主要政策の相次ぐ方針転換に、与党内からも首相の進退を問う声が出ている。
トラス氏は大規模減税による経済成長を掲げて保守党党首選に勝利し、首相となった。財務相には長年の盟友のクワーテング氏を起用し、9月23日には総額450億ポンド（約7兆円）の減税策を発表。来年4月に予定されていた法人税率引き上げ（19％から25％へ）の凍結などを盛り込んだ。しかし、財源が借金頼みで、財政悪化への懸念から通貨ポンドは急落。国際通貨基金（IMF）は一連の減税策を「推奨しない」とする声明を出した。

トラス氏は14日の記者会見で、政策の転換理由を「市場を安心させる必要がある」と説明。クワーテング氏の更迭を「非常に残念だ」とも述べた。後任には閣僚経験豊富で日本通のハント元外相を任命した。
公約を忠実に実行したクワーテング氏を更迭した一方で、会見では「あなたはなぜ首相にとどまるのか」との質問が飛んだ。トラス氏は「経済の高成長を実現するという公約を最後までやり通す決意がある」と強調し、わずか8分で会見を打ち切った。
ポンドは会見後も下げ止まらず、政権の迷走に対して与党内からも反発が出ている。英紙ガーディアンは「首相は辞任すべきだ」との党重鎮の声を紹介。元閣僚は「政権がクリスマスまで持つか五分五分だ」と同紙に述べ、ヘイグ元保守党首も英ラジオに「首相の立場は風前のともしびだ」と述べた。

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