au障害で総務省がKDDIに職員を派遣し復旧のメドを都度発表させたことに批判の声　｢民間企業に国の人間を直接乗り込ませるな！｣

KDDIの通信障害が発生したのは2日午前1時35分ごろ。トラブルが長期化する中、総務省の竹内芳明総務審議官（次官級）が課長補佐級の職員とともに、
新宿区にある同社の特別対策室に派遣されたのは同日夜のことだ。

全面復旧確認後の5日夕に開かれた記者会見で同社の吉村和幸専務は「（総務省から派遣された職員は）今もいらっしゃいます」と明かしており、
少なくとも3日程度は同社で対応に当たっていたようだ。

総務省が職員派遣を決めた背景には、KDDIの利用者対応に対するいらだちがある。
同社がホームページなどで利用者に通信障害を知らせたのは、2日午前3時ごろ。

しかし、その内容は「当社の通信サービスがご利用しづらい状況が発生しております」というあっさりしたもので、状況を把握できない利用者から不満の声が上がっていた。

事態を動かしたのは岸田文雄首相だ。金子恭之総務相は5日の記者会見で、岸田氏からタイムリーな実態把握と適切な周知を行うよう指示があったと説明。
これが職員派遣につながった。

金子氏は「SNS（ネット交流サービス）上で素人の官僚が現場の足をひっぱったという誤解もあるが、技術に精通した職員だ」と述べ、派遣は適切だったと強調した。

竹内氏がKDDI内でどう動いたのか詳細は分かっていないが、同社の利用者対応が変化したのは事実だ。

竹内氏の同社入り後、3日午前1時ごろに更新されたお知らせには「西日本は7時15分、東日本は9時30分を目標として復旧活動に取り組んでいます」と具体的な復旧のめどが掲載された。

その後、復旧に向けた情報量は徐々に増強されていった。「総務省から、もう少しお客様目線でとお叱りを受けた」。3日に記者会見した高橋誠社長はこう認めた。

ただ、民間のトラブルに監督官庁の職員が直接乗り込む対応には批判もある。KDDIの対応とともに、総務省の対応も今後、検証する必要がありそうだ。