戸籍上は男性・性自認は女性　「性別違和」の診断を受けた園児に対するいじめを認定　大津市

「性別違和」の園児へ「あっちいけ」　第三者委、11件をいじめ認定
菱山出2022年7月6日 17時51分

　大津市立保育園で「性別違和」の診断を受けた園児（当時）がいじめ行為にあった問題で、園の対応などを調査した市の第三者機関「大津の子どもをいじめから守る委員会」（委員長=春日井敏之・立命館大大学院教授）は6日、答申書を佐藤健司市長に提出した。計11件をいじめと認定し、園の対応は「不十分だったことは否めない」とした。

　園児は戸籍上は男性だが性自認は女性。保育園には2019年4月に入園した。答申によると、性別違和感に基づく言動について、他の園児が否定的にとらえる言動をしたことなどで、5歳児クラスの途中から不登園状態になった。

　4歳児クラス在籍時は、園児がプリキュアのTシャツやピンク色の服装で登園し、他の園児が「男なのに女の格好をしている」などとからかう発言があった▽園児が「自分は実は女の子である」という趣旨の発言をしたことに対し、うそつき呼ばわりする行為があった――など6件をいじめと認定した。

　5歳児クラスでは、友達から「あっちいけ」「ついてくんな」などと言われ、「入れて」と言っても入れてもらえなかった▽園児が女児向けの靴下をはいていたことに他の園児がからかう言動をした――など5件を認定した。

　保育園の対応については「5歳児になって学級の担当スタッフが1人減となったことなどの影響もあり、園児や保護者からの訴えや相談、抱える不安への対応なども後手となり、不十分だったことは否めない」と指摘した。

※略※

https://www.asahi.com/articles/ASQ765RGKQ76PTJB001.html

大津市の市立保育園に通っていた子どもが心と体の性が一致しないため、ほかの園児からいじめを受けたと訴えた問題で、市の第三者委員会は仲間はずれにされたり遊具で胸をつかれたりしたことなど、あわせて１１件のいじめがあったとする調査結果をまとめました。

この問題は、大津市の市立保育園に通っていた現在は小学２年生の児童が心と体の性が一致しないため、当時、ほかの園児から「うそつき」と言われたり殴られたりするなどのいじめを受け、保育園に通えなくなったと訴え、市の第三者委員会が調査を行っていたものです。

６日、第三者委員会の調査結果がまとまり、委員長をつとめた立命館大学大学院の春日井敏之教授が大津市の佐藤健司市長に報告書を手渡しました。

この中で、児童が４歳児と５歳児のクラスにいた当時、ほかの園児からからかわれたり、仲間はずれにされたりしたほか、遊具で胸をつかれたりするなどあわせて１１件のいじめがあったと認定しました。

そして保育園側は園児どうしのトラブルで成長過程でよく起こりうることだという認識だったが、保育園でもいじめが起きる可能性があることを認識すべきだとしています。

その上でそれぞれの保育士は熱意を持って取り組んでいたが、保育園として組織的に情報を共有する態勢になっていなかったため、改善が必要だと指摘しています。

第三者委員会の春日井委員長は「未就学児でも行為としてのいじめは起きうるし、対策はまだまだで、報告書の持つ意味は大きい。大津市には検証委員会を作って、今後の取り組みの進み具合までチェックしてほしい」と話していました。
大津市の佐藤市長は「報告の内容を真摯に受け止め、安心・安全な保育の実現に向け全力で取り組みます」としています。

児童の両親は「私たちの子どもが、保育園で繰り返しいじめ被害を受けていたことが明らかになりました。今回の調査結果は保育園にいじめはないという考えを改め、いじめはいつ、どこでも、だれにでも起こりうるという認識を共有する上で、大切な第一歩になるものと受け止めています。二度と同じことが繰り返されないよう、保育園と大津市が今後の対策を徹底して進めていくことを切望します」とコメントしています。

https://www3.nhk.or.jp/lnews/otsu/20220706/2060010949.html