貧乏人の最後の砦、"もやし"も値上げか?背景に政府が促す価格転嫁

「特売の目玉」として30年近く価格がほとんど上がらなかったモヤシにも値上げの動きが出ている。生産者と取引先のスーパーとの価格交渉は1円単位。一筋縄ではいかないが、生産者はある変化を感じている。

茨城県小美玉市にある旭物産（水戸市）の工場。自動制御システムで温度管理された室内で10日ほど育てたモヤシがコンベヤーで次々と運ばれていく。洗浄や検品など一連の工程は自動化され、次々にパック詰めされる。工場では1日30～40トンのモヤシを生産し、主に関東地方のスーパーに出荷している。

モヤシは天候に左右されずに作れる。年間を通じて生産量が安定しているため、スーパーの集客の目玉として安売りの対象となりがちだ。総務省の家計調査（2人以上世帯）から工業組合もやし生産者協会が集計したデータによると、平均価格は1992年の40.76円（200グラム換算）をピークに下落傾向が続いていた。

「デフレで安いものにお客さんは飛びつく」
旭物産の林正二会長によると、1袋20円で納品した商品を、スーパーが赤字覚悟で9円や19円で売ることも珍しくなかった。「デフレが続き、安いものにお客さんは飛びつく。ありがたい半面、安さから脱皮できない苦しさがあった。途上国を別にして、モヤシは日本が世界で一番安いと言われている」

生産コストが上がっても納品価格は据え置きが基本。買い手であるスーパーの立場が強く、値上げを言いだそうものなら「ほかの業者から買う」と言われることも少なくなかった。

1袋1～4円の値上げに成功

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