日本政府「米軍の運用に口を出す権限はわー国にない」日米同盟とは何だったのか

　日米両政府が発表した輸送機オスプレイの国内飛行は、在沖縄米軍が１４日朝、先陣を切って再開。「米軍主導」の飛行再開が浮き彫りとなった。地元自治体は昨年１１月に鹿児島県・屋久島沖で起きた墜落事故の状況や原因を明かさない進め方に不信感を深めている。

　沖縄県の玉城デニー知事は１４日、県庁で記者団に「防衛省の対応は本当に不条理極まりない」と批判した。林芳正官房長官は記者会見で「引き続き関係自治体への丁寧な説明を行っていく」と述べたが、溝は深い。

　米国が運用停止解除を決めた８日以降、防衛省は事故原因を「特定の部品の不具合」としか公表していない。再発防止策の実効性を検証できない状況だ。

　与野党からは問題視する声が出ていた。１２日の参院外交防衛委員会で、自民党の佐藤正久氏は「一定程度（事故原因を）言わないと、地元の反対で運用できないことになりかねない」と指摘。立憲民主党の福山哲郎氏も「オスプレイの課題が全部なくなったとどうやって証明するのか」と追及した。

　政府関係者は「米軍の運用に口を出す権限はない」と言い切る。実際、木原稔防衛相は９日に記者団から早期再開を目指す理由を問われた際、「米側は米側の事情もある。日本の安全保障に資するため運用していく必要性がある」とさえ述べ、飛行再開をはやる米軍を追認するかのような姿勢が目立った。

　防衛省は来年７月までに、千葉県木更津市の陸上自衛隊オスプレイ部隊を佐賀市に移駐させる方針だが、今回の飛行再開が禍根を残す恐れもある。沖縄県うるま市では、陸自訓練場の整備計画が近隣住民の反対で再検討に追い込まれたばかりだ。防衛省幹部は「地域の不信をどこかで払拭しないと、必ず影響が出てくる」と語った。

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